昆虫大戦争（1968）　～　邦画　ＳＦ・パニック・サスペンス　～

『昆虫大戦争』（英題：Genocide / War of the Insects）は、1968年11月9日より松竹配給にて公開された日本映画。
大量発生し人間に襲い掛かる突然変異した昆虫の恐怖を描いくパニックホラー。
監督は「白痴 (1951)」の助監督や「恋人よ (1964)」「宇宙大怪獣ギララ (1967)」の監督・脚本を務めた二本松嘉瑞。
脚本は特撮TV「忍者部隊　月光 (1964～1966)」「黄金バット (1966)」特撮TV「マグマ大使 (1966～1967)」特撮TV「宇宙特撮シリーズ　キャプテンウルトラ (1967)」TVアニメ「マジンガーＺ (1972～1974)」TVドラマ「特捜最前線 (1977～1987)」特撮TV「電子戦隊デンジマン (1980～1981)」アニメ「世紀末救世主伝説　北斗の拳 (1986)」の高久進。
撮影は「波の塔 (1960)」「続・愛染かつら (1962)」「さよならはダンスの後に (1965)」「宇宙大怪獣ギララ (1967)」「吸血鬼ゴケミドロ (1968)」「戦いすんで日が暮れて (1970)」TVM「江戸川乱歩「吸血鬼」より　氷柱の美女 (1977)」の平瀬静雄。
音楽は「兄弟仁義 (1966)」「ガメラ対大悪獣ギロン (1969)」アニメ「タイガーマスク (1970)」TVアニメ「新造人間キャシャーン (1973～1974)」特撮TV「宇宙鉄人キョーダイン (1976)」「宇宙怪獣ガメラ (1980)」TVアニメ「Ｄｒ．スランプ　アラレちゃん (1981～1986)」TVドラマ「スチュワーデス物語 (1983～1984)」の菊池俊輔。
出演は、TVドラマ「事件記者 (1958～1966)」「丹下左膳 (1963)」「海抜０米 (1964)」「この声なき叫び (1965)」「宇宙大怪獣ギララ (1967)」「花の不死鳥 (1970)」「夜の手配師　すけ千人斬り (1971)」の園井啓介、「春の夢 (1960)」「眠狂四郎　人肌蜘蛛 (1968)」TVドラマ「ワイルド７ (1972)」TVドラマ「３年Ｂ組金八先生　（第２シリーズ） (1980～1981)」「ゴジラＶＳメカゴジラ (1993)」「ガメラ２　レギオン襲来 (1996)」「エリ・エリ・レマ・サバクタニ (2005)」「サッドヴァケイション (2007)」の川津祐介、「スチャラカ社員 (1966)」TVドラマ「美しきチャレンジャー (1971)」TVドラマ「西遊記 II (1979)」「鬼龍院花子の生涯 (1982)」「女帝 (1983)」「夜汽車 (1987)」TVドラマ「家なき子 (1994)」TVドラマ「牡丹と薔薇 (2004)」の新藤恵美、「海人舟より　禁男の砂 (1957)」「バラ少女 (1959)」「伊豆の踊子 (1960)」「背徳のメス (1961)」「べらんめえ芸者と丁稚社長 (1963)」「日本ゼロ地帯　夜を狙え (1966)」「怪獣大奮戦　ダイゴロウ対ゴリアス (1972)」の瞳麗子など。
同時上映は「吸血髑髏船」（松野宏軌監督作品）と「黒蜥蜴」（深作欣二監督作品）。

【　ストーリー　】

南海のある島に、秋山は昆虫採集に来ていた。
彼は飛行機が墜落するのを目撃した。
その飛行機は水爆を搭載してベトナムへ向う途中の米軍戦略爆撃機だったが、一万メートルの高度で昆虫の大群に遭遇し墜落したのだ。
グアム島の司令部では、ゴードン中佐に水爆回収の作戦が下された。
米軍捜索隊は島の洞窟に、アゴの肉をえぐり取られて死んでいる機長と副操縦士、そして記憶を喪失しているチャーリーを発見。
一方、秋山は軍用時計を拾ったことから機長と副操縦士の殺人容疑をうけてしまった。
秋山は昆虫採集の依頼主である東京生物科学研究所の南雲と、近くの島に住むアナベルに無実の証言を頼んだ。
チャーリーのうわごとから、機長たちは洞窟の中で昆虫の大群に襲われたことを知った。
秋山は、東京の裁判所に連行されるという朝、妻のゆかりに子供が出来たと知らされ脱走して、アナベルの許に逃げ込んだ。
しかし、アナベルは細菌戦用の研究をしている、Ｘ国の一味で、意識を回復したチャーリーをさらっていたのだ。
そして、猛毒を持った虫を集め、米軍の皆殺しを図っていた。
チャーリーは毒虫の犠牲になり、狂って街に出たところをゴードンに射殺された。
一方すべてを知った秋山は、南雲と落ち合った。
南雲は自らの身体を使って、毒虫に対する解毒剤を発見した。
しかし、昆虫は南雲の口を借りて奇怪なことをしゃべったのだ。
「人類が自分の核兵器で滅ぶのは勝手だが、我々が巻き添えを食うのは御免だ。人間を皆殺しにする」と・・・。

【　余談　】

・　本作は松竹大船撮影所作品で、『吸血鬼ゴケミドロ』に続く、終末テーマのSFパニック映画シリーズ。
当時泥沼化していたベトナム戦争と東西陣営による核戦争の脅威をテーマに、孤島を舞台に愛憎、スパイ戦、大国のエゴなど、濃厚な人間ドラマが描かれた。
「水爆搭載機の墜落と捜索」がストーリーの骨子となっているが、本作公開の二年前の1966年に、パロマレス米軍機墜落事故が起こっており、これは当時かなり現実味の強いテーマだった。

・　俳優の川津祐介は以前から二本松嘉瑞監督を慕っており、出演依頼が来た時には一も二もなく引き受けたという。

・　撮影ロケは八丈島で行われた。

・　川津祐介が蜂に全身を噛まれるシーンがあるが、これは本物のミツバチに噛ませて撮影した。

・　チャーリー役のチコ・ローランドはブラジル出身で、現地にこの蜂にそっくりな猛毒の蜂がおり、この撮影を異常に怖がったという。

・　毒虫の撮影では人間大の着ぐるみも用意されたが、製作に1ヶ月ほどかかるため数体作るためのスケジュールが合わず、本編での使用は見送られ、この着ぐるみは予告編にのみ登場する。

・　当時の劇場用予告編は、冒頭で宇宙円盤が大挙して地球に接近する『吸血鬼ゴケミドロ』の映像が流用されているが、本編にこのような描写はない。

・　本作は、「社団法人・映画輸出振興協会」による輸出映画産業振興金融措置の融資を受けて、製作された映画である。

【　スタッフ　】

監督：　二本松嘉瑞
原案：　天田欽元
脚本：　高久進
製作：　小角恒雄
撮影：　平瀬静雄
音楽：　菊池俊輔
美術：　芳野尹孝
録音：　中村寛
調音：　松本隆司
照明：　青木辰夫
編集：　寺田昭光
光学技術：　石川智弘
特殊効果：　川上景司
現像：　東洋現像所
装置：　中村良三
監督助手：　白木慶二
スチール：　梶本一三、金田正
製作進行：　福山正幸
製作主任：　内藤誠
協力：　日本特撮株式会社（川上景司、菅沼峻）
製作・配給：　松竹

【　キャスト　】

南雲義人（昆虫学者）：　園井啓介
秋山譲治（昆虫採集家）：　川津祐介
秋山ゆかり（譲治の妻）：　新藤恵美
小室純子（日赤の女医）：　瞳麗子
南雲の助手：　園江梨子
アナベル：　キャシー・ホラン　（吹替：北浜晴子）
チャーリー：　チコ・ローランド　（吹替：たてかべ和也）
ゴードン中佐：　ラルフ・ジェッサー　（吹替：納谷悟朗）
軍医：　フランツ・グルーバー
爆撃機機長：　マイク・ダニーン
副操縦士：　ライナー・ゲシュマン
搭乗員：　ハーディ・バウマン
通信兵：　ウィリアム・ドュウク
米軍司令官：　ハロルド・コンウェイ
副官：　ウォルフラム・ベギシャス
松永恒夫：　上田忠好
刑事：　青沼三郎
藤井徹：　青山宏
セボレー工藤：　市村俊幸
市山達巳