北北西に進路を取れ（1959）　～　洋画　サスペンス・ドラマ　～

『北北西に進路を取れ』（原題：North by Northwest）は、1959年に製作されたアメリカ映画。
ある人物に間違われた事を発端に、行く先先で新たな事件に巻き込まれていく男が真実を求め奔走する姿を描くサスペンス・ドラマ。
監督は「断崖 (1941)」「白い恐怖 (1945)」「裏窓 (1954)」「知りすぎていた男 (1956)」「サイコ (1960)」「鳥 (1963)」「引き裂かれたカーテン (1966)」「トパーズ (1969)」「フレンジー (1972)」「ヒッチコックのファミリー・プロット (1976)」のアルフレッド・ヒッチコック。
脚本は「麗しのサブリナ (1954)」「王様と私 (1956)」「ウエスト・サイド物語 (1961)」「逆転 (1963)」「サウンド・オブ・ミュージック (1964)」「ハロー・ドーリー！ (1969)」「ブラック・サンデー (1977)」のアーネスト・レーマン。
撮影は「見知らぬ乗客 (1951)」「ダイヤルＭを廻せ！ (1954)」「ハリーの災難 (1955)」「めまい (1958)」「鳥 (1963)」「マーニー (1964)」「荒野の隠し井戸 (1967)」のロバート・バークス。
音楽は「市民ケーン (1941)」「地球の静止する日 (1951)」「キリマンジャロの雪 (1952)」「サイコ (1960)」「鳥 (1963)」「悪魔の赤ちゃん (1973)」「タクシードライバー (1976)」「６６６号室 (1982)」のバーナード・ハーマン。
主演は「鷲と鷹 (1933)」「アメリカの恐怖 (1936)」「コンドル (1939)」「フィラデルフィア物語 (1940)」「断崖 (1941)」「泥棒成金 (1954)」「めぐり逢い (1957)」「シャレード (1963)」「歩け走るな！ (1966)」のケーリー・グラント。
共演は「波止場 (1954)」「栄光への脱出 (1960)」「３６時間 (1964)」「アメリカ上陸作戦 (1966)」「レッド・ムーン (1968)」「恋のじゃま者 (1986)」「永遠のアフリカ (2000)」「スーパーマンリターンズ (2006)」のエヴァ・マリー・セイント、「灰色の男 (1943)」「ジュリアス・シーザー (1953)」「地底探険 (1959)」「ローマ帝国の滅亡 (1964)」「夜の訪問者 (1970)」「天国から来たチャンピオン (1978)」「評決 (1982)」「死を呼ぶ晩餐 (1985)」のジェームズ・メイソンなど。

［　公開日　］

1959年7月17日　アメリカ Los Angeles, California 公開
1959年7月28日　アメリカ Chicago, Illinois 公開
1959年8月6日　アメリカ New York City, New York 公開
1959年9月17日　日本公開
1959年10月21日　フランス公開
1959年11月12日　香港公開
1959年11月22日　イギリス公開
1959年11月27日　イタリア公開
1984年11月17日　日本再リリース
1998年7月30日　オーストラリア再リリース
1998年10月7日　フランス再リリース
1999年10月21日　ドイツ再リリース
2001年3月22日　ドイツ DVD発売
2009年6月19日　イギリス再リリース
2009年10月18日　アメリカ Chicago International Film Festival 上映
2009年11月2日　アメリカ AFI Film Festival 上映
2010年4月24日　アメリカ TCM Classic Film Festival 上映

【　ストーリー　】

主人公のロジャー・ソーンヒルは、ニューヨークの広告会社の社長。
男前で仕事もできる。
ある日、プラザホテルのラウンジで顧客と打ち合わせをしていた彼は、母へ電報を打つためウェイターを呼んだ。
すると、その時に館内放送で呼ばれていたジェームス・キャプランという男に勘違いされ、二人の男に連れ去られてしまう。
誘拐された先は郊外の豪邸で、その主はレスター・タウンゼントという人物だった。
そこでロジャーは勘違いされただけだと何度も言うが、信じてもらえない。
彼らはキャプランがニューヨークのプラザホテルに宿泊しており、その後はシカゴに行くということを知っていた。
しかし、人違いを何度説明しても信じてもらえないロジャーは、らちがあかないと逃亡しようとするが、タウンゼントの手下に捕らえられてしまう。
そして無理矢理大量のバーボンを飲まされ、泥酔状態のまま車に乗せられ、事故死を装って殺されかける。
ロジャーは酔ったままなんとか車を運転し、パトカーに追突されたところで逮捕された。
しかし、タウンゼントという男に殺されかけたというロジャーの話は警察にも、母にも信じてもらえない。
翌日、ロジャーはタウンゼントの屋敷を警察と一緒に訪れた。
昨日と同じ部屋に案内されるが、昨日には確かにあったバーコーナーがない。
そこへ、タウンゼント夫人がいかにも知り合いのように親しげに出てきて、昨晩ロジャーがかなりの酒を飲んだと証言した。
タウンゼント氏は今日は国連に行っているという。
もはや誰もロジャーの話を信じていなかった。
自分が騙されていることに気付いたロジャーは、母とともにキャプランが泊まっているというプラザホテルへ向かった。
フロントに問い合わせると、キャプランはもう2日間も電話にでないという。
母親に頼みフロントからキャプランの部屋の鍵をもらい、彼の宿泊する部屋に入るロジャー。
そこにはタウンゼントの写真があった。
ホテルのスタッフに話を聞くと、これまで誰一人としてキャプランを見ていなかった。
そこへ電話がかかってきた。
ロジャーが電話に出ると、タウンゼントからであった。
ますますタウンゼントにロジャーがキャプランだと印象づけてしまった。
ロジャーがすぐさま交換手に確認するとロビーからの電話だという。
すぐにロジャーは客室を去るが、手下の二人が同じエレベーターに乗って来てしまう。
ロジャーはうまくエレベーターを先に出てタクシーに乗り、タウンゼントがいるという国連に向かった。
国連の受付でタウンゼントに面会の連絡をするが、ロビーに現れた男は、先日会った男とは全く違う人物だった。
話すと、確かにあの屋敷はタウンゼント氏のものだが、国連総会の開催中は近くのアパートに住んでおり、妻はずいぶん前に死んだという。
ロジャーがホテルにあった写真をタウンゼント氏に見せた瞬間、追ってきた手下の男がナイフを投げ、タウンゼントを殺害した。
倒れ込むタウンゼント氏を抱えると、ついロジャーは手にナイフを取ってしまう。
犯人と勘違いされたロジャーはその場に居合わせたカメラマンに写真を撮られてしまう。
国連での事件が新聞に掲載され、ロジャーは指名手配の殺人犯となってしまった。
その記事を読むCIAの調査員たち。
実はジョージ・キャプランという男はCIAがヴァンダムという男をマークするために作り上げた実在しないおとりスパイだったのだ。
調査員のボスである教授と言われる男は、ヴァンダムの周りにいる本当のスパイの命を危険にさらさないためにも、ロジャーをそのまま逃がすことにした。
ロジャーは逃亡犯となってしまった。
キャプランの行方を確かめるためプラザホテルに電話すると、彼はシカゴのアンバサダー・イーストホテルに行ったという。
こうなったらキャプランを見つけ、事実を聞き出すしかないと考えたロジャーは、シカゴ行き特急電車に乗るが・・・。

【　余談　】

・　タイトルの意味について、ヒッチコックは「気象用語としては“North By Northwest”は間違いで“Northwest By North”が正しい。主人公はこの違いに気がつかないほど混乱してしまったんだ。」と語っている。
また、『ハムレット』の台詞“I am but mad north-by north-west.”から取ったとも言う。

・　映画は、主人公とヒロインがキスをし、トンネルに突入する列車のシーンにカット替わりして終わる。これについてヒッチコックは、列車は男根の隠喩であり、自身の映画で最もわいせつなシーンだと語っている（ヒッチコック＝トリュフォー『映画術』）。

・　ヒッチコック映画で4本主役を演じたジェームズ・ステュアートは、本作のロジャー・ソーンヒル役を熱望して自分を使うよう売り込んだが、ヒッチコックが断ったという。
理由は、前作『めまい』が興業的に失敗してしまい、ステュアートが老けて見えたことがその原因であるとヒッチコックが判断した為である。
しかし、実際はグラントの方がステュアートより年上である。

・　本作においてヒッチコックのカメオ出演は2回ある。
最初はオープニングタイトルの最後に、バスに乗り遅れる乗客として登場。
二回目は、列車の中の場面で女装して女性の乗客として出演。

・　本作は作品中に著作権表記があるものの、公開時期が古く、更新手続きが行われなかったことから、公開当時の米国の法律（方式主義）により権利放棄とみなされ、米国においてはパブリックドメインとなっている。

【　スタッフ　】

監督：　アルフレッド・ヒッチコック
脚本：　アーネスト・レーマン
製作：　アルフレッド・ヒッチコック、ウィリアム・H・コールマン
撮影：　ロバート・バークス
編集：　ジョージ・トマシニ
音楽：　バーナード・ハーマン
録音：　フランクリン・ミルトン
キャスティング：　レナード・マーフィ
アートディレクション：　ウィリアム・A・ホーニング、メリル・パイ
プロダクションデザイン：　ロバート・ボイル
セット制作：　ヘンリー・グレイス、フランク・R・マケルヴィ
タイトルデザイン：　ソウル・バス
助監督：　ミッキー・マッカードル
視覚効果（Visual Effects）：　マシュー・ユーリシッチ、Cliff Shirpser
特殊効果（Special Effects）：　Ａ・アーノルド・ギレスピー、リー・ルブランク、ダグ・ハバード
メイク：　ウィリアム・タトル、ペギー・シャノン、Sydney Guilaroff　、Stanley Smith

【　キャスト　】

ロジャー・ソーンヒル：　ケイリー・グラント
イヴ・ケンドール：　エヴァ・マリー・セイント
フィリップ・ヴァンダム（偽タウンゼント）：　ジェームズ・メイソン
レナード（偽タウンゼントの秘書 / 殺し屋）：　マーティン・ランドー
教授：　レオ・Ｇ・キャロル
クレア・ソーンヒル（ソーンヒルの母）：　ジェシー・ロイス・ランディス
レスター・タウンゼント：　フィリップ・オーバー
ヴァンダムの部下：　アダム・ウィリアムズ
ヴァンダムの部下：　ロバート・エレンスタイン
15番窓口の切符売り：　ネッド・グラス
競売人：　レス・トレメイン
マギー（秘書）：　ドリーン・ラング
エドワード・ビンズ
ジョセフィン・ハッチンソン
エドワード・プラット
フィリップ・クーリッジ
パトリック・マクヴィ
ケン・リンチ
スタンリー・アダムス
アンディ・アルビン
アン・アンダーソン
アーネスト・アンダーソン
マルコム・アターベリイ
トル・エイヴリー
ベインズ・バロン
ジョン・ベラディーノ
サラ・バーナー
スティーヴン・ボルスター
タガート・ケイシー
ビル・キャッチング
ボブ・コー
ウォルター・コイ
ジミー・クロス
ルシル・カーティス
パトリシア・カッツ
ジャック・デイリー
ローレンス・ドブキン
ジョン・エルドレッジ
トミー・ファレル
ジェスリン・ファックス
ジョセフィン・フォルスバーグ
サリー・フレイザー
トム・グリーンウェイ
ノーム・ヘフロン
レン・ヘンドリー
アルフレッド・ヒッチコック
ユージン・ジャクソン
ボビー・ジョンソン
シド・ケイン
ケナー・G・ケンプ
マッジ・ケネディ
ラリー・レヴェレット
アレクサンダー・ロックウッド
フランク・マーロウ
ノラ・マーロウ
トム・マーシャル
ジェイムズ・マカリオン
モーラ・マクギヴニー
ハワード・ネグリー
チャールズ・ポスタル
ヒュー・プライアー
ラルフ・リード
ジェフリー・セイヤー
ハリー・シーモア
ロバート・シェーン
ドリス・シン
ジェレミー・スレート
ヘレン・スプリング
ハーヴェイ・スティーヴンス
バート・スティーヴンス
ハリー・ストラング
レイ・ウィーヴァー
スーザン・ホイットニー
フランク・ウィルコックス
ビル・ロイド
ロバート・ウィリアムズ
ウィルソン・ウッド
チャールトン・ヤング
John Damler
Adolph Faylauer
Paul Genge
Carl Milletaire
Maudie Prickett
Olan Soule
Dale Van Sickel
Paula Winslowe