イヴの総て（1950）　～　洋画　ドラマ　～

『イヴの総て』（イヴの總て（初公開時タイトル） / 原題：All About Eve）は、1950年に製作されたアメリカ映画。
原作は、実在の女優エリザベート・ベルクナー（Elisabeth Bergner）をモデルに1946年に刊行されたメアリー・オルの短編小説「The Wisdom of Eve」。
監督・脚本は「呪われた城 (1946)」「ボストン物語 (1947)」「三人の妻への手紙 (1949)」「ジュリアス・シーザー (1953)」「クレオパトラ (1963)」「三人の女性への招待状 (1966)」「大脱獄 (1970)」のジョセフ・L・マンキーウィッツ。
撮影は「嫌疑者 (1934)」「アラビアン・ナイト (1942)」「他人の家 (1949)」「狙われた駅馬車 (1951)」「めぐり逢い (1957)」「西部開拓史 (1962)」「メイド・イン・パリ (1965)」「続・猿の惑星 (1970)」のミルトン・クラスナー。
音楽は「街の灯 (1931)」「厳窟王 (1934)」「快傑ゾロ (1940)」「廃墟の群盗 (1948)」「三人の妻への手紙 (1949)」「王様と私 (1956)」「アンネの日記 (1959)」「西部開拓史 (1962)」「ネバダ・スミス (1966)」「大空港 (1970)」のアルフレッド・ニューマン。
出演は「ウォタルウ橋 (1931)」「化石の森 (1936)」「黒蘭の女 (1938)」「月光の女 (1940)」「ラインの監視 (1943)」「盗まれた青春 (1946)」「ポケット一杯の幸福 (1961)」「家 (1976)」「呪われた森 (1980)」「八月の鯨 (1987)」のベティ・デイヴィス、「スワンプ・ウォーター (1940)」「偉大なるアンバーソン家の人々 (1942)」「幸福の森 (1948)」「彼女は二挺拳銃 (1950)」「私は告白する (1953)」「十戒 (1956)」TVM「刑事コロンボ／偶像のレクイエム (1972)」「リトル・モー (1978)」TVM「エデンの東 (1981)」のアン・バクスター、「紳士協定 (1947)」「星は輝く (1949)」「上流社会 (1956)」「ＦＢＩの敵Ｎｏ.１ (1967)」「トム・ソーヤーの冒険 (1973)」「ビタースイート・ラブ (1978)」「スリーメン＆ベビー (1987)」「いつかあなたに逢う夢 (1998)」のセレステ・ホルム、「奴隷船 (1937)」「レベッカ (1940)」「天国の怒り (1941)」「ドリアン・グレイの肖像 (1945)」「黒騎士 (1952)」「未知空間の恐怖／光る眼 (1960)」「さらばベルリンの灯 (1966)」「狼の館 (1969)」「サイコマニア (1972)」のジョージ・サンダース、「頭上の敵機 (1949)」「歩道の終わる所 (1950)」「フロッグメン (1951)」「第三暗黒街 (1954)」「ＳＦ巨大生物の島 (1961)」「烙印の狼 (1965)」「ある戦慄 (1967)」「レッド・リバーのガンマン (1967)」「ハックルベリーの冒険 (1974)」のゲイリー・メリル、「頭上の敵機 (1949)」「星は輝く (1949)」「街の野獣 (1950)」「地球の静止する日 (1951)」「草原の追跡 (1952)」「悪の花園 (1954)」「終身犯 (1961)」「呪いの城 (1966)」「暴かれた殺意 (1968)」のヒュー・マーロウ、「三十四丁目の奇蹟 (1947)」「三人の妻への手紙 (1949)」「裏窓 (1954)」「ママは二挺拳銃 (1961)」「荒馬と女 (1961)」「西部開拓史 (1962)」「恋のクレジット (1963)」「ボーイング・ボーイング (1965)」「ある戦慄 (1967)」のセルマ・リッター、「栄光のハリウッド (1932)」「女難アパート (1933)」「キャバレエの鍵穴 (1933)」「恋をしませう (1934)」「永遠の戦場 (1936)」「第七天国 (1937)」「栄光への脱出 (1960)」「栄光のジャングル (1961)」のグレゴリー・ラトフ、「休暇異変 (1942)」「花嫁の季節 (1948)」「ダニー・ケイの検察官閣下 (1949)」「流砂 (1950)」「栄光の彼方に (1951)」「結婚しましょう (1951)」「底抜けやぶれかぶれ (1953)」「仮面の追撃 (1956)」のバーバラ・ベイツ、「ラヴ・ハッピー (1949)」「ノックは無用 (1952)」「ナイアガラ (1953)」「バス停留所 (1956)」「荒馬と女 (1961)」「マリリン・モンロー：ライフ・アフター・デス (1994)」「モンタン、パリに抱かれた男。 (1994)」「マリリン・モンロー　ファイナル・デイズ (2001)」のマリリン・モンローなど。

［　公開日　］

1950年10月13日　フランス Paris 公開
1950年10月13日　アメリカ New York City, New York premiere 上映
1950年11月9日　アメリカ Los Angeles, California 公開
1951年4月18日　フランス公開
1951年6月12日　オーストラリア公開
1951年8月16日　香港公開
1951年9月16日　日本公開
1951年10月29日　イタリア公開
1952年4月12日　スペイン公開
2000年10月6日　アメリカ limited 再リリース
2001年2月28日　フランス再リリース
2007年11月30日　イギリス再リリース
2008年11月19日　フランス再リリース

【　ストーリー　】

アメリカ劇界最高の栄誉であるセイラ・シドンス賞が、新進女優イヴ・ハリントン（アン・バクスター）に与えられた。
満場の拍手のうち、イヴの本当の姿を知る数人の人達だけは、複雑な表情で彼女の受賞を見守るのだった。
8ケ月前、劇作家ロイド・リチャアズ（ヒュー・マーロウ）の妻カレン（セレステ・ホルム）は、毎夜劇場の楽屋口で大女優マーゴ・チャニング（ベティ・デイヴィス）に憧れの目を向けている田舎娘イヴを知り、マーゴに紹介した。
その哀れな身上話はひどくマーゴを感動させ、イヴはマーゴのアパートに住込んで秘書の役をすることになった。
目から鼻へ抜けるようなイヴの利発さに、マーゴは愛情とともに次第に警戒心を抱きはじめたが、たまたまマーゴの家でのパーティーの夜、ハリウッドの仕事から帰って来たマーゴの恋人で演出家のビル（ゲイリー・メリル）に対するイヴの厚かましい態度は、マーゴをすっかり怒らせてしまった。
この夜カレンにとりいってマーゴのアンダア・スタディに推薦してもらったイヴは、マーゴの知らぬうちに批評家アディスン（ジョージ・サンダース）に真価を認められるに至った。
マーゴはビルやロイドに当り散らし、その横暴さはカレンまで立腹させた。
カレンはマーゴをこらしめるため自動車旅行の途中わざと車のガソリンを抜いてマーゴを欠勤させ、イヴを舞台に立たせた。
処女出演は大成功で、アディスンは殊更マーゴの老齢を当てこすってイヴへの賛辞を書きたてた。
この記事でカレンも態度をひるがえしかけたところ、ビルに言い寄って失敗したイヴは逆にガソリン事件を種にカレンを脅迫し、ロイドのマーゴ用脚本をせしめた上に彼を籠絡した。
しかし、ロイドと結婚してブロードウェイを征服しようとしたイヴは、過去の偽りにみちた正体と汚ないヤリ口の証拠をすべてアディスンが握っていることを知った。
かくてイヴは、1枚上手のアディスンにあやつられたまま、ほかの人々を踏台にして栄誉の席についたのだった。
受賞の夜、アパートに帰ったイヴは、フィービー（バーバラ・ベイツ）という演劇志望の少女が部屋に座りこんで、こまごまと彼女の用を足すのをみた。
イヴが寝室に入った後この少女は、イヴの衣裳をつけて鏡の前に立ち、丁度8ケ月前にイヴがマーゴの衣裳でしたと同じように、自らの姿に法悦を感じていた。

【　主な受賞歴　】

・　アカデミー賞（1950年）

　　　作品賞　（ダリル・F・ザナック）
　　　助演男優賞　（ジョージ・サンダース）
　　　監督賞　（ジョセフ・L・マンキーウィッツ）
　　　脚本賞　（ジョセフ・L・マンキーウィッツ）
　　　衣装デザイン賞　（イデス・ヘッド）
　　　録音賞

・　カンヌ国際映画祭

　　　審査員特別賞
　　　女優賞

【　余談　】

・　監督と脚本を担当したマンキーウィッツは、前年のアカデミー賞において『三人の妻への手紙』に続いてアカデミー監督賞と脚本賞を受賞している。
尚、2年連続で4つのアカデミー賞を一人の人間が獲得したのは後にも先にもマンキーウィッツただ一人である。

・　当初、マーゴ役はクローデット・コルベールが演じる予定だったが、怪我のために降板した為、スーザン・ヘイワードやマレーネ・ディートリッヒ、バーバラ・スタンウィックの名前が挙がったが、脚本を読んで気に入ったベティ・デイヴィスが演じ彼女の代表作となった。
また、無名だった頃のマリリン・モンローが端役（チャンスを狙う新人女優）で出演している。

・　『青春の抗議』、『黒蘭の女』に続いて3度目のオスカー受賞かと言われたデイヴィスだが、共演のアン・バクスターが所属会社フォックスの力を借りて主演女優賞にノミネートされ、結局、票が二つに割れた事で二人とも受賞は叶わなかった。

・　本作は、1995年に『ショーガール』としてリメイクされたが、アメリカでは劇場公開時に過激な暴力シーンや性的シーンが問題となりNC-17指定、本作とは正反対に1995年の第16回ゴールデンラズベリー賞で10部門ノミネート、最低作品賞・最低監督賞・最低主演女優賞・最低新人賞・最低脚本賞・最低主題歌賞の6部門受賞（後に2000年の特別賞である1990年代最悪作品賞も受賞）した。

【　スタッフ　】

監督：　ジョセフ・Ｌ・マンキウィッツ
原作：　メアリー・オル　『The Wisdom of Eve』
脚本：　ジョセフ・Ｌ・マンキウィッツ
製作：　ダリル・Ｆ・ザナック
撮影：　ミルトン・クラスナー
音楽：　アルフレッド・ニューマン
アートディレクション：　ライル・R・ウィーラー、ジョージ・W・デイヴィス
録音：　Ｗ・Ｄ・フリック、ロジャー・ヒーマン
編集：　バーバラ・マクリーン
衣装デザイン：　チャールズ・ル・メア、エディス・ヘッド
セット制作：　トーマス・リトル、ウォルター・M・スコット
特殊効果（Special Effects）：　Fred Sersen 、Jess Wolf
メイク：　Ben Nye 、Franz Prehoda 、Kay Reed　、Gene Roemer 、Gladys Witten

【　キャスト　】

マーゴ・チャニング：　ベティ・デイヴィス
イヴ・ハリントン：　アン・バクスター
アディソン・ドゥイット：　ジョージ・サンダース
ビル・サンプソン：　ゲイリー・メリル
カレン・リチャーズ：　セレステ・ホルム
ロイド・リチャーズ：　ヒュー・マーロウ
マックス・フェビアン：　グレゴリー・ラトフ
バーディ：　セルマ・リッター
カズウェル：　マリリン・モンロー
少女：　ランディ・スチュアート
フィービー：　バーバラ・ベイツ
主演男優：　クレイグ・ヒル
老齢の俳優：　ウォルター・ハムデン
ドアマン：　リーランド・ハリス
サイン・シーカー：　バーバラ・ホワイト
舞台監督：　エディ・フィッシャー
従業員：　ウィリアム・プレン
ピアニスト：　クラウド・ストロード
フランス人：　ユージン・ボーデン
リポーター：　Helen Mowery
ウェイター：　スティーヴン・ジレイ
ガートルード・アスター
ラルフ・ブルックス
ジェイムズ・コナティ
フランクリン・ファーナム
ベス・フラワーズ
トーマス・マーティン
ハロルド・ミラー
スタンリー・オル
マリオン・ピアース
'スナップ'・ポラード
ラリー・スティアーズ
ロバート・ホイットニー
Jack Chefe