『 ヤコブへの手紙 』 （原題：Postia Pappi Jaakobille / 英題：Letters to Father Jacob） は、2009年に製作されたフィンランド映画。
1970年代のフィンランドの片田舎を舞台に、盲目の牧師と、彼の元で手紙を読み返事を書く仕事を得た身寄りのない元服役囚、そして彼らに手紙を届ける郵便配達人との心の交流を描くヒューマンドラマ。
監督・脚本は「Nattflykt (1999)」「Äideistä parhain (2005)」のクラウス・ハロ。
撮影は「Blóðbönd (2006)」「Miehen työ (2007)」「Muukalainen (2008)」「Kielletty hedelmä (2009)」「Paha perhe (2010)」「Säilöttyjä unelmia (2012)」「Vuosaari (2012)」のトゥオーモ・フートリ。
主演は、コラムニストとしても活躍する「Miehen työ (2007)」「Paha perhe (2010)」「Pussikaljaelokuva (2011)」「Vares - Uhkapelimerkki (2012)」のカーリナ・ハザード。
共演は、舞台を中心に活躍する「Saatanan radikaalit (1971)」「Akallinen mies (1986)」「Pekko ja unissakävelijä (1997)」「Hurmaava joukkoitsemurha (2000)」「Paha maa (2005)」「Tummien perhosten koti (2008)」「Sisko tahtoisin jäädä (2010)」「Vuonna 85 (2013)」のヘイッキ・ノウシアイネン、TVドラマで活躍する「Lupaus (2005)」のユッカ・ケイノネンなど。
フィンランド本国での公開以来、小さな作品にも関わらず第82回アカデミー賞外国語部門代表選出をはじめとして、フィンランド・アカデミー賞（Jussi Awards）最多部門受賞、第33回カイロ国際映画祭でグランプリと脚本賞を受賞するなど、国内外の様々な映画祭で賞を獲得した作品。
［ 公開日 ］
2009年4月3日 フィンランド公開
2009年8月28日 フィンランド Espoo Film Festival 上映
2009年10月1日 カナダ Vancouver International Film Festival 上映
2009年10月10日 韓国 Pusan International Film Festival 上映
2010年1月 アメリカ Palm Springs International Film Festival 上映
2010年1月4日 フィンランド TV初オンエア
2010年2月5日 アメリカ Santa Barbara International Film Festival 上映
2010年3月11日 フランス Rouen Nordic Film Festival 上映
2010年3月26日 香港 Hong Kong International Film Festival 上映
2010年4月16日 アメリカ RiverRun International Film Festival 上映
2010年5月9日 フランス EuroCine 27 上映
2010年5月21日 アメリカ Seattle International Film Festival 上映
2010年10月8日 アメリカ limited 公開
2010年10月31日 日本 Finland Film Festival in Japan 上映
2011年1月5日 スペイン公開
2011年1月15日 日本公開
【 ストーリー 】
模範囚として恩赦を言い渡されたレイラ。
12年間暮らした刑務所から釈放されても身寄りのないレイラは、不本意ながらも勧められるがまま、ある牧師の家に住み込みで働く事になった。
レイラが訪ねた家には、盲目の牧師ヤコブがいた。
「いらっしゃい、よく来てくれましたね。」
レイラを温かく迎え入れるヤコブ牧師。
しかし、すぐにそこを出て一人で生活を始めようと考えていたレイラは牧師にそっけない態度をとってしまう。
そんなレイラにヤコブ牧師は、目の見えない彼がただ一つ出来ない事を仕事としてお願いする。
それは毎日届く手紙を読み、その返事を彼の代わりに書く事。
それが、レイラの仕事だった。
「ヤコブ牧師、郵便ですよ。」
自転車に乗った郵便配達人によって、毎日届けられる人々からの手紙。
「親愛なるヤコブ牧師様・・・。」
手紙の送り主たちは、些細な事から、誰にも打ち明けられない事まで、いろいろな悩みを手紙で告白する。
孫の就職口がない事、学校が嫌でたまらない事、夫の暴力がおさまらない事。
一度だけ手紙を送ってくる人もいれば、何度も手紙を送ってくる人もいる。
様々な内容の手紙のひとつひとつに、丁寧な返事をするヤコブ牧師。
手紙の送り主たちは、ヤコブからの返事を心の拠り所にし、彼もまた日々届く手紙を楽しみにしていた。
人々の手紙が届かなくなってしまわないように、心の拠り所が無くなってしまわない様にと、ヤコブ牧師は別の土地に用意された立派な家に引っ越す事もなく、そこに住む彼と同じように古ぼけて、雨漏りのする家に住み続けるのだった。
嫌々ながらヤコブ牧師の家に住み続けるレイラは、ヤコブ牧師のために手紙を読んで返事を書くという仕事も好きになれない。
毎日手紙を配達に来る郵便配達人もうっとうしく感じ、彼がヤコブ牧師に届けた人々からの手紙を勝手に捨ててしまうのだった。
毎日手紙を届けながら、牧師の事を心配する郵便配達人もまた、突然現れたレイラに不信感を持つ。
そして、相容れない二人の仲は、険悪になってしまう。
そんなある日、毎日届いていたヤコブ牧師への手紙がぷつりと届かなくなる。
「そんな日もあるさ」というヤコブ牧師だったが、それが生きがいとなっていた彼は、すっかり気を落としてしまう。
一方レイラは、ヤコブ牧師の元を出て行くことを決心する。
しかし、自分には行くべき場所も、待っている人もいないということに気付き、深く絶望する。
そんなレイラに、ヤコブ牧師は「まだこの家にいてくれたんだね」とやさしく語りかける。
ただ一人、孤独な自分を受け入れてくれるヤコブに、レイラはようやく心を許し始めるのだった。
手紙も届かず、日に日に弱っていくヤコブを見かねたレイラは、郵便配達人に手紙が来なくなった理由を尋ねる。
すると、「来ない手紙は届けられない」という郵便配達人。
そこで、レイラと郵便配達人は一つの約束をする。
明日、必ずヤコブへの手紙を届けること。
しかし、翌日も相談の手紙は届かなかった。それでもレイラは、ヤコブ牧師に「手紙が来ましたよ」と告げる。
そして今までだれにも話せずにいた、あることを打ち明け始めるのだった・・・。
「親愛なるヤコブ牧師・・・。」
【 スタッフ 】
監督 ： クラウス・ハロ
原案 ： ヤーナ・マッコネン
脚本 ： クラウス・ハロ
製作 ： ラッセ・サリネン 、リスト・サロマ
撮影 ： トゥオーモ・フートリ
アートディレクション ： カイサ・マキネン
編集 ： Samu Heikkilä
音楽 ： ダニ・ストロムベック
衣装デザイン ： Sari Suominen
メイク ： Pia Mikkonen 、Johanna Soppela
【 キャスト 】
レイラ ： カーリナ・ハザード
ヤコブ牧師 ： ヘイッキ・ノウシアイネン
郵便配達人 ： ユッカ・ケイノネン
カイヤ・パカリネン
エスコ・ロイネ
予告編
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